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ギルト症候群

英語のギルト(Guilt)の意味は有罪、あやまち、自責の心です。

 

自責の念は誰でも持った経験はあるでしょう。それは自分の過ちを反省して自己を成長させるのには必要なことですが、不必要に自責の念を持つ人がギルト症候群の人です。

 

ギルト症候群の人は総じて“思いやりのある人”“優しい人”“面倒見の良い人”と表現されます。

 

それは人間関係で常に他人の気持ちを最優先しているからです。

 

例えば、疲れているから今日は家にまっすぐ帰ってお風呂にでも入ってリラックスしよう!と思っていたのに同僚から飲みに誘われるとギルト症候群の人は「今日はちょっと…。ゴメンネ、また誘ってね」とは言えないのです。基本的に他人に誘われたらNOと言えないのです。

 

週末にショッピングに行こうと思っていたら、そのことを知った友人から「じゃあ、付き合ってあげる!」と言われました。本当はゆっくりと1人でショッピングをするつもりだったのに…と心の中で思っても友人の気分を壊したら悪いから「ありがとう」と言ってしまう。
「ありがとう、でも自分1人でショッピングするのが好きなの。その方が気を使わなくてのんびりと自分の好きな物だけゆっくり見ることが出来るから」とは言えません。

 

捨てるのがもったいないから、と不要なものをどんどんくれる友人に「私だってそんな物いらないよ!」とは言えずに、ついつい「ありがとう」と言ってもらってしまい気づくと家の押入れは不要なプレゼントで一杯。自分には不要な物だけど、友人に悪くて捨てることも誰かにあげることもできない。

 

どうして自分の望んでいないことを提案された時に断ることが出来ないのでしょうか?

 

「NOと言ったら相手の気持ちを踏みにじってしまうから、相手を傷つけたくないから…」とギルト症候群の人は答えます。

 

ギルト症候群の人が断れるのは「歯医者の予約」や「病気」のような変更の聞かないことや他人が関わった約束事です。

 

「ごめんなさい、子供を幼稚園に迎えに行かないといけないから」

「ごめんね。母を病院に連れて行かないといけないから」

「ごめんなさいね、入院している友人のお見舞いに行くから、また今度誘ってね」

 

など、他人が関わったはっきりとした理由がある時だけです。その為に自分のこと以外で日々忙しくしている人はそのような理由で“断っているので”断っている自分の自覚があるために「え?!私はNOってちゃんと言えますよ!」と自分がNOと言えない人間だと自覚していないことが多々あります。

 

「ごめん、日曜日は久し振りに何も予定を立てずにダラダラゴロゴロしていようと思っているの」

「今日は付き合えないわ。会社の後マッサージにでも行ってリラックスする予定なの」

「ぶらぶらと誰に気兼ねをせずにウインドウショッピングでもしようかなぁ~って思っているの」

 

など、自分が自分のために予定を立てていたことは厚かましい(?)様な気がして絶対に言えません。唯一の病院の予約など以外は上記のようなことを予定していても「何している?」と聞かれると「別に特に何も」と答えてしまい相手に誘う隙を与えてしまいます。

 

ギルト症候群の人は「私が悪い」という罪悪感がいつも心のどこかにあるので、周囲に起こる問題に対して自分を責める材料を探すのが癖になっています。

 

「もし、あの時、私が電話をかけていたらxxxxにはならなかったかもしれない」

「もっとxxxxするべきだった」

 

ギルト症候群の代表的な症状

@自分の望まないことに対してNOと言えない
@会話に“ゴメン”が多い
@過去にした自分の判断を悔やむことが多い
@沈黙が苦手、会話が途切れると、話をしなければ(盛り上げないと)と心の中で焦る
@他人からの不要なプレゼントを処分することに抵抗を感じる

 

ギルト症候群の人はいつも何かしら理由を見つけて自分を責めます。ギルト症候群の人の持つ罪悪感は一体どこから来るのでしょうか?

 

罪悪感を植えつけられる子供の頃のトラウマの代表的なケース

ケース1:「私のせいでごめんなさい」

「もう!お前がグズグズしているからバスに乗り遅れちゃったじゃないか!」

「さっさとしなさい。もう、みんな外で待っているんだから!」

「お姉ちゃんはxxxxなのに、なんでアンタはxxxx出来ないのかね〜?」

「また、なくしちゃったの? 本当に何度言ってもなくすのね!」

 

家族がどんなにこの子供を愛していても、この言葉を使っている時は愛よりもイライラが勝っています。例えば、末っ子で自分よりも年上の子供たちと行動をしていたために比較され、いつもできない子、足を引っ張る子と形容されてきた。

褒められるよりも注意や指摘が多くて「ごめんなさい」と言わなければいけない状況がたくさんあった子供時代。

 

 

ケース2:「私さえいなければ、みんな幸せになったのに…私のせいで…」

「お前が出来ちゃったから、お父さんとお母さんは結婚しなければいけなくなっちゃったんだよ」

「お母さんはお父さんと離婚したいけど、アナタのためにしないのよ」

両親の結婚したことや離婚しないことの責任を背負ってしまった場合。

 

「貴方がパパとママの愛のキューピッドだったのよ~」と夫婦円満な環境で言われたら子供は嬉しいでしょう。その場合は全く問題ありません。子供はそれを聞いて「キモーイ!」などと言うかもしれませんが、心の中では両親が仲良いことを喜んでいます。

 

「結婚したくなかったけどお前が出来ちゃったから仕方なく結婚した」などと言われ、両親の夫婦仲が悪ければ、悪い分だけこの子供の罪悪感はど~んと重くなるでしょう。

 

 

ケース3:「私がもっと良い子になったら…」

精神的あるいは肉体的に弱い親を幼い時にサポートをしていた子供。

 

アルコール依存症、自殺未遂癖、うつ病、ヒステリーなど精神的に不安定な親、あるいは父親の暴力に怯える母親、姑のいじめに耐える母親、病弱な親などを子供ながらに「なんとかしなければ」と頑張って「良い子」「我慢強い子」「頼りになるしっかりとした子」を演じて親を安心させるよう頑張ってサポートしていた子供時代。

 

残念ながらその子供の努力が大人の問題を解決することが出来ない場合(ほとんどの場合は出来ません)「自分がもっと良い子だったら…」と、子供は自分を責めるのです。責任感が過度になり、自分の責任以上の責任を負う癖があります。過度の責任感は最終的には責任を果たすことが出来ないという結果をもたらしてしまい、それがまた罪悪感の元になってしまいます。

 

このような過去の度重なるトラウマのために潜在的な自己価値がとても低くなっています。愛されるために他人のリクエストには何でも応える。他人のリクエストを断ることは罪悪を感じます。

 

ギルト症候群の人にとっては断ることは大きなストレス、それなら引き受けて疲れることを選ぶのです。

 

他人よりも楽をしていてはいけない気持ちがあり、苦行僧症候群にも似ていますが、苦行僧症候群の人は自分の苦行を肯定的に捉えて喜びさえ感じているのに対し、ギルト症候群の人は「何か違うけど、ここからどうしたらよいのか分からない」という漠然とした気持ちが根底にあります。

 

「私さえ我慢すれば、全ては上手く行く。みんな幸せになる」とバイオコンピューターに設定されています。そして、時々、あれこれと引き受け過ぎて約束を守ることが出来なくなったりして信用を失ってしまう場合もあります。

 

時間が迫ってきて「今」その場を立ち去らないと次の約束に間に合わないのに、相手のペースに飲まれてその場を去ることが出来ず、また自分を責めるのです。自意識過剰症候群があるギルト症候群の場合「○○さんが引き留め溜めたから遅れちゃった」と他人のせいにすることもあります。

 

併用する他の症候群

クヨクヨと過去に起きたことを思い返す人 → 自己批判症候群
嫌いな人にも好かれたい → 自意識過剰症候群
何かに依存したがる → 執着依存症候群

 

エクササイズ

時々自分自身に不満を感じる人 、口角が下がっている → 胆嚢のエクササイズ
便秘症、下痢症などの腸の不調 → 大腸のエクササイズ
他人から認められない、拒絶されると感じる人 → 脾臓のエクササイズ
ため息が多い、ため息が出来ない、息を止めている自分に気づく → 肺のエクササイズ
食べたくなくても悪いから/もったいないからと食べる人 → 胃のエクササイズ

 

ギルト症候群に必要なアファメーション

「私は自分のことだけに責任を持ちます」

このアファメーションを言うことにためらいを感じますか?特に「自分のことだけに」というのは自分勝手で無責任に感じますか?確かに自分が子供を持つ親であったら「こんなアファメーションは言えない!」と思うかもしれませんね。でも、このアファメーションをクリアーしたから他人に無責任になったりするのではありません。過度な責任感、自負感のバランスが取れるのです。

飛行機の中で緊急時に酸素マスクをする時に子供よりもまず親が酸素マスクをして下さいと説明をされます。あの感じです。先に子供を助けるつもりでマスクをつけようとしている間に自分の息が出来なくて途中で倒れてしまったら意味がないのです。子供も自分も助かりません。

自分自身のことに責任を取ることが出来なければ、他人の責任なんか負えないよ!です。ギルト症候群の親は子供をモンスターに育ててしまう傾向があるので気を付けてください。

 

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